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グランドパッキンってなに?どんな種類がある?使用する際の注意点も解説

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2023年04月25日

工業系分野に携わる方、特に回転体を伴う機械を扱う方は、「グランドパッキン」という言葉に聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか?
ここでは、「グランドパッキン」の定義や種類・使用用途・使用時の注意点について解説していきます。
「グランドパッキン」について知りたい方は、本記事をご参考にしていただければ幸いです。

グランドパッキンってなに?どんな種類がある?使用する際の注意点も解説

グランドパッキンとは?

まず、「グランドパッキン」の定義から確認していきます。
日本産業規格「JIS B 0116」によると、グランドパッキンとは、「断面が角形又は丸形で、スタッフィングボックスに詰め込んで用いるパッキンの総称」と定義されています。

ここで、スタッフィングボックスという聞きなれない単語がありますが、これは軸回転部にパッキンを固定するための空間を有する構造のことを指しています。
一般的に、グランドパッキンは軸封のために用いられる部品で軸の摺動部に多く用いられています。

ここで言う軸封とは、内部の液体が軸部から外部に漏れ出さないようにしたり、外部の空気を吸い込まないようにしたりすることを言います。
この軸封部品にはグランドパッキンの他にメカニカルシールが有名です。

グランドパッキンにはどんな種類がある?

では、このグランドパッキンにはどのような種類があるのでしょうか?
ここでは、グランドパッキンの種類の紹介と同じ軸封部品であるメカニカルシールについても触れていきます。
グランドパッキンには、その「形状」と「材質」にそれぞれ種類があります。
まず、ここではそれぞれの種類について整理していきます。

グランドパッキンの形状

グランドパッキンは、紐状の形態をしており軸封したい部分の軸に敷き詰めるようにしてスタッフィングボックス内に入っています。
その紐状の先端部分に「ストレートカット」と「バイアスカット(45°)」の2種類があり、前者は長さ調節に優れ、後者は取り付け部の締め付け力を強化できるという利点があります。

グランドパッキンの材質

グランドパッキンの材質には、「ブレードパッキン(編組パッキン)」・「積層パッキン」・「金属箔パッキン」・「黒煙パッキン」の4種類があります。
以下にそれぞれの特徴を示します。

①ブレードパッキン(編組パッキン)

この種類は、繊維糸を編み込んで紐状にしており、潤滑剤で処理したり、ゴムや樹脂を含侵させたりして潤滑性を保っています。
その編み方には、八つ編み、袋編み、格子編みなどがあり、回転機器(ポンプ用)で使われることが一般的です。

②積層パッキン

この種類は、布やゴムを何層にも重ねたり、巻き込んだりして構成されており、パッキンが軸の摺動面に接するようにして使用されます。

③金属箔パッキン

この種類は、金属箔のリボンを用いてそれらを巻き重ねたり、組み合わせたりして構成されたものです。

④黒煙パッキン

この種類は、繊維系の紐に黒煙テープを巻いたり、黒煙シートそのものを打ち抜いたりして作られます。
バルブの弁棒(バルブのハンドルと仕切りを繋げる棒)のシールなどに用いられています。

メカニカルシールとの違い

グランドパッキンと同じ軸封部品の一つに「メカニカルシール」があります。
日本産業規格「JIS B 0116」によるとメカニカルシールは、「端面シールの一種で、緩衝機構をもつ動的ユニット」とされています。
このメカニカルシールはグランドパッキンと同じくポンプ等の回転機器の軸封部に用いられ、グランドパッキンに比べて流体の漏れ量が少ないことや交換寿命が長いという特徴があります。

しかしながら、イニシャルコストが高く、構造が複雑な精密部品であるため組付けにはある程度の技量と精密さが必要であるという側面もあります。
そのため、交換が必要な場合はメーカー様に取り付け部の締め付けトルクを確認しておくとスムーズに作業が進みます。

グランドパッキンの使用用途は?

グランドパッキンは上記の通り回転体軸部に取り付けられており、「バルブの弁棒部」や「ポンプの軸封部」に使用されています。

バルブの弁棒部

バルブの弁棒がケーシングを貫通しているところに取り付けられています。
このパッキンは安価かつ摺動面積が広いため、比較的摺動が少ないバルブに多く見られます。
また、交換作業が簡単なことやパッキンの劣化による漏れに対しても締め付けにより継続して使用できるという利点もあります。

ポンプの軸封部

ポンプなどの回転機器の主軸がケーシングを貫通しているところに取り付けられています。
このパッキンは軸の焼き付き防止のため、軸とパッキンの隙間に多くの液体が存在する必要があり、軸からの漏れは比較的多めです。
そのため、軸受部下部にはドレン受けなどを用意するなどの環境に配慮した工夫が必要です。

グランドパッキンを使用する際の注意点を解説

グランドパッキンは軸とケーシングを貫通するところに取り付けてあるため、パッキンの摺動による消耗が激しく、定期的に部品を交換する必要があります。
また、特にポンプ等の回転機器に取り付ける場合は、初期運転時やパッキン交換後の運転において、取り付け部の締め付け調整が必要となります。

そのため、これらの運転では軸封部の温度に注意を払いながら、数回に分けて観察する必要があります。
また、上記締め付け時には、取り付け部の締め忘れはもちろんのこと、締め過ぎや片締めにも注意を払う必要があります。

まとめ

今回は、グランドパッキンの概要・種類・用途・注意点を解説しました。
この部品は交換が容易な分、組付け時の微調整が必要です。
そのため、交換時は予めメーカー様に構造及び締め付けトルク等を確認しておきましょう。