お役立ちコラム

column

フート弁はどんな仕組みで動いている?地上設置型との違いを解説

column

2022年11月28日

給水設備に欠かせない「フート弁」とは、どのような仕組みで動いているのでしょうか?
フート弁は、水を汲みあげる設備において必要不可欠な存在です。
今回の記事ではどのような役割を持ち、どんな種類があるのか、基本からしっかりと学べます。

また、最後にはフート弁に関するよくあるトラブルと解決策も載せていますので、併せて参考にしてください。
フート弁はどんな仕組みで動いている?地上設置型との違いを解説

フート弁の役割を知ろう|どういう仕組みで動いている?

水をくみ上げる設備のほとんどに使用されているフート弁(フートバルブ)は、「逆止弁」の役割を持っています。
次の項目で、フート弁の基礎について理解していきましょう。

フート弁の役割とは?落水を防ぐ逆止弁の一つ|基本を抑えよう!

ポンプ内に空気が入ってしまわないよう、配管をふさぐ役割を持っているのがフート弁です。フート弁がうまく機能しないと、空気がポンプ内に入ってしまい「落水」が引き起こされるのです。
落水の状態で運転すると、故障の原因につながります。

キャッチ弁との違いは?設置場所や機能を解説|間違いやすいから要チェック

よく間違えられやすいフート弁とキャッチ弁の違いについて理解していきましょう。
どちらのバルブも、逆流を防ぐ役割を持っています。

2つの違いは設置する場所です。
フート弁は装置の1番最後に設置されますが、キャッチ弁は配管の途中に設置されています。
配管の中の流体が逆流した際に自動で弁が閉じる仕組みです。

フート弁の種類と仕組み|従来型と最新型どちらがよい?

フート弁には、「末端フート弁」と「地上設置型(地上設置式)フート弁」の2種類が存在します。
末端は昔から使用されているバルブです。
一方、地上設置型は最新式のバルブになっています。

それぞれの特徴や違いについて見ていきましょう。

末端フート弁|昔ながらの従来型

従来型のフート弁は、水を吸い上げる機械の1番最後に設置されているバルブです。
そのため、「底フートバルブ」とも言われています。
また、水に浸かっている状態がデフォルトなので、「水中フートバルブ」といった呼び方もされています。

ポンプが作動した際に、吸い上げられる水の水圧で弁が開く仕組みです。
ポンプが停止したら、逆流(落ちる)の水圧で弁が閉じます。

フート弁は、「落水」といわれるトラブルを防ぐための大切なバルブです。

地上設置型(地上設置式)フート弁|劇的な進化を遂げた最新型

地上設置型(地上設置式)フート弁は、もともとあった末端フート弁とは異なり、地上に設置されているのが特徴です。

2つとも、本体の弁が逆止弁としての役割を果たす点は変わりありません。
しかし、構造や設計は全くの別物です。
さらに、地上設置型は、その中でも2種類に分類されます。

スモレンスキ・フートバブル

スプリングの力により弁の開閉を行う仕組みのフート弁です。
パッキンの使用により、水を止める力を強くしています。
構造は、リフト式のキャッチバルブと同じです。

スモレンスキ・グランドフーロバルブSG

スプリングを使用して弁の開閉を行う方法はスモレンスキ・フートバルブと同じです。異なる点は、本体と弁の形状です。

流体が流れる際の抵抗を、最低限にする形状になっているため、ポンプの消費電力が節約できます。
噛み込みが発生しにくいのも嬉しいポイントです。

「末端フート弁」「地上設置型フート弁」のメリット・デメリット

末端フート弁と地上設置型フート弁にはそれぞれよい点と悪い点が存在します。
次の項目は2つのメリット・デメリットについて把握していきましょう。

末端フート弁のメリット・デメリット

末端フート弁のメリットは、導入コストの安さです。
製造される素材が安価で、構造も単純なため、初期費用を抑えられます。

一方、メンテナンスに手間がかかる点がデメリットです。
設置場所が水中のため、日々の点検にとても時間がかかります。
また、トラブルが発生した際はフートバルブを引き上げる必要があるため、大掛かりな作業になる場合が多いです。

地上設置型フート弁のメリット・デメリット

地上設置型フート弁のメリットは、手入れの簡単さです。
末端フート弁とは違い、地上に設置されているのでメンテナンスの作業が簡単に行えます。

ただし、製造素材によっては初期コストが大きくなるのが難点です。
とはいえ、ランニングコストは従来型よりも抑えられるため、長期的にみるとコストが削減できます。

【必見!】発生頻度が高いポンプトラブルの解決策

バルブ・ポンプ関係に多いトラブルについて解説していきます。
設備関係でトラブルが発生した際の参考にしてもらえると幸いです。

ドライ運転

「空(から)運転」とも呼ばれており、ポンプの中が空っぽのまま運転をした際に発生するトラブルです。
ドライ運転を行うと、モーター・ペアリング・羽車が焼けて壊れてしまう原因になるので注意しましょう。

エア噛み

エア噛みは、ポンプの中に空気が入り込んでしまった際に発生するトラブルです。
少量の空気であっても、流体が移動する量や吐出圧が変わってしまいます。
また、エア溜まりが発生し、ポンプそのものの性能が低下にもつながるトラブルです。

キャビテーション

ポンプの中の一部で圧力の違いが発生し、流体の中に気泡が発生してしまう現象です。
気泡は発生と消滅を繰り返し、そのたびにポンプの中では衝撃が発生します。
そうすると、ポンプ内にダメージが蓄積され、ポンプの破損や動作時の騒音につながります。

ウォーターハンマー

配管内の流体を急に止める作業や、反対に急に流といった作業にともなって発生するトラブルです。
配管の中に大きな衝撃が発生し、「ドン!」「ガン!」といった音が響きます。
また、音だけでなく配管の破損につながるため、注意が必要です。

まとめ

フート弁とは、水を組み上げる設備には必ずついている逆止弁です。
落水を防ぐ役割を持っており、作動しないと故障の原因につながります。

従来型のフート弁と、最新型の地上設置型ではメンテナンスの方法が異なるため、違いを把握しておくのが大切です。